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山のいのち

したたるほどの緑におぼれそうだった。
こい緑が波しぶきになって窓のそとをながれていく。
静一はさっきからずっと窓のそとばかりをながめていた。
「静一、おじいさんにいろんなことおそわれよ。
パパもママも外国に出張意いくから、この夏はいっしょにいられないんだ。
おまえと遊んでいる時間もないからな。おじいちゃんはなんでもしってるぞ」
父が運転をしながらいった。
静一は父の生まれ故郷の家にあずけられることになっていた。


都会のコンクリートの部屋の中で、
一人ひきこもりがちだった少年と
その少年を自分の息子と思い込んでしまったおじいさん。
冒頭、何かもの悲しいような印象を受けたけど、
山の中の二人の姿は生き生きとして力強かった。
少年に若々しく動く姿を見せ、いのちのあり方を教える老人。
いつしか少年は言葉を発するようになり外の世界に馴染んでいた。

「たべたりたべられたり。
山の中のものはなにもむだがなくて、ぜんぶがぐるぐるとまわっているんだよ」
おじいさんの言葉にあらためて考えさせられた生命のこと
たったひとつのいのちにも無駄はなく、そう生命は循環しているんだ。
私の好きな写真家であり作家でもある星野道夫さんも
エッセイでそのように記していたことを思い出しました。

透き通った新鮮な空気、そして生命の力が湧き出てくるような絵本です。

山のいのち_b0085080_2024538.jpg

◇ 作: 立松 和平 (たてまつ わへい)
◇ 絵: 伊勢 英子 (いせ ひでこ)
◇ 出版: ポプラ社
by hanayuki_rei | 2009-05-24 20:06 | 児童書・絵本


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