ロバのシルベスターとまほうの小石

ロバのシルベスター・ダンカンは、ムギ谷村のドングリ通りに、
父さん、母さんとすんでいました。
シルベスターの楽しみは、
かわった形や、かわった色の小石を、あつめることでした。
夏休みのある雨の日に、シルベスターは、きみょうな小石を見つけました。
燃えるように赤く光っていて、ビー玉のようにまん丸でした。
このすてきな小石をながめて、われをわすれていたせいでしょうか、
シルベスターは、にわかにさむけがして、
はだに雨がつめたくかんじられました。
それでつい、「雨がやんでくれたら、なあ」と言いました。
すると、おどろいたことに、雨がやみました。
ふだんのようにこぶりになってやんだのでなくて、
ぴたりと、ふらなくなったのです。


シルベスターは、すぐに赤い石に力があると思い、喜びました。
このことを父さんや母さんに早く知らせたくて、いそいで家へ帰りますが、
途中腹を減らしたライオンにあってしまいます。
そこで驚いたシルベスターはあわてて、岩になりたいと願ってしまったのです。
岩になってしまったシルベスターはもう元へ戻ることはできません。
赤い石が近くに転がっているというのに…。
父さん、母さんは、シルベスターがいつまでたっても帰ってこないので大変心配しました。
そうして、あっという間に時は流れていきました。

不思議な力を持った小石を手に入れたことはとてもラッキーなことでした。
しかし、その半面、大変な苦労を強いられることになってしまった
シルベスターのお話は、なぜか人生の縮図のようにも思えます。
とてもいいことがあったかと思うと、辛い試練もあったりして、
でも、その先に待っているのは、
きっと素晴らしい喜びであるに違いありません。

1970年にコールデコット賞を受賞したこの作品は、
現在までに大勢の子どもたちに愛され続けてきました。
受賞にあたり、作者のスタイグさんは
「芸術を通して子どもに手渡すものにも大きな意味があることを、
私は十分に意識しているつもりです。
また、子どもを間違った方向へ導くものをふくめ、
文化的な影響力をもつものは他にもたくさんあり、
それと競争しなければならないということも私は理解しています。」
と語っています。
このことから作者の児童文学への思い入れの深さと責任の強さを感じます。

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◇ 作・絵: ウイリアム・スタイグ
◇ 訳: せた ていじ
◇ 出版: 評論社
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by hanayuki_rei | 2008-10-06 23:38 | 児童書・絵本


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