西表島旅行2日目 早朝トレッキング 後編

朝靄にすっぽりと包まれた空間、辺りにたくさんのトンボが飛んでいた。
もし、トンボの国があったとしたら、こんな感じなのではないかと思うくらい
たくさんいた。
「台風が近づくとトンボが多く飛ぶんですよ」
野生の生き物には、人間から忘れさられた第六感が、まだ宿っているのだと思う。
ここにいたら、私もその力を取り戻せるのだろうか。
たとえ、取り戻せないとしても、便利すぎる日常生活ですっかり鈍ってしまった五感は、
少しは戻って来そうだった。
それはそうと、今、台風がきたらどうしよう。ちょっと困る。
でも、それはそれで自然まかせでいい旅なのだろうか。

展望台から見おろす仲間川の景色は、とても力強く雄大だった。
マングローブが森となって川を守り、川が島の生命を活き活きとさせている。
そして人間たちは、島の生命を大切にし、その恩恵を受けて繁栄していくといった
壮大な自然の営みが感じられた。
仲間川は傾斜がとても緩やかなため、水の流れがとてもゆっくりで、
まるで湖のようにそこにとどまっていた。
遠くから近くに目を移すと、すぐ下に、ヒカゲヘゴの大きな新芽が見えた。
地元では、これを食するという。
どんな味がするのか興味が湧くところだが、今回は残念ながら食べることはできなかった。


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展望台から見おろした仲間川
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                           偶然写りこんでいたトンボ(拡大)


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展望台のすぐ下に見えるヒカゲヘゴの新芽
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                           ヒカゲヘゴの新芽(拡大)


雄大な風景に感動し、見入っていたら、ガイドさんがポットから冷たいお茶を
コップに注いでくれた。
「さんぴん茶だ。」
さんぴん茶とは沖縄でよく飲まれているお茶で、ジャスミンティーのこと。
ちょうどいいタイミングで差し出されたお茶が、とても嬉しくて
一口のむと体全身が潤され元気が増した。
ちょっとした休憩のあと、記念撮影をしてもらい、もと来た道を戻った。

朝露でしっとりと保湿された木や草、土、空気。
途中見つけた道にできた水たまりの中を覗いてみると、
おたまじゃくしがうようよ泳いでいた。
足がでているのもいた。
子どものころ、こうやって道端で見つけた水たまりを覗きこみ、
大きなおたまじゃくしをいっぱい見つけたときの感動がよみがえってきて、
懐かしささえ覚えた。
ギンネムは葉を開き、すっかり目を覚ましていた。
蝶もいっぱい現れて、優雅に舞っていた。
あまりにもたくさんの蝶に驚いていたら、
多いときは蝶に囲まれるようにして歩くと聞いて更に驚いたが、
そういった非現実的な空間を歩いてみたいとも思った。

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        葉を開かせたギンネム


帰り道は、行きとは違う顔をみせ、同じ道を歩いているとは思えない新しい発見があった。
幹から実が生る不思議な木、ギランイヌビワ。
このような木は見たことがなくて、とても不思議な木だなと思った。
ヒカゲヘゴの幹に模様があった。南国の木らしい可愛い模様。
ヒカゲヘゴは日のあたらない下の葉っぱが落ちて成長して行くため、
葉の落ちたあとは幹に模様ができる。
その模様がマルの中に八の字を逆さにした模様に見えることから、
地元ではマルハチとも呼ばれているらしい。

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        幹から直接実をつけるギランイヌビワ


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                           ヒカゲヘゴの幹の模様(拡大)


木の枝に脱ぎ捨てられたセミの脱け殻がとても大きくて驚いたり、
葉っぱの上に美しい色彩のイリオモテモリバッタが出現してワクワクしたり、
手にとって見せてくれた、きれいな緑色のアオミオカタニシの美しさに魅了されたりした。
たまった水がキラキラ光ってきれいだったクワズイモの葉っぱには小さなカタツムリがいた。
今まで、出遇ったことのない生き物達、普段気づくことのない自然の雄大さに触れながら
帰りの道も十分に楽しんだ。


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上段左からセミの抜け殻、イリオモテモリバッタ、アオミオカタニシ、名前の分からないカタツムリ


この道の下には、西船付川(にしふなつきがわ)が流れている。
この川の水は西表島の貴重な水源となっていて、その利用は西表のみならず、
山がなくて水を確保できない周辺の離島へも海底を通って運ばれ、
利用されているとのことだった。
山があるから川があり、川があるから水が使える。
水が使えるから、水が飲めて、ごはんも炊けるし、お風呂にも入れる。
川が海に栄養を運んで海の生き物達も元気になるし、とにかくみんな元気になれる。
涼しい風も吹いてくるし、きれいな空気もいっぱいできる。
山はとっても大切なのだ。
「どうか、やたらと切り崩したりしないでほしい。」そう強く願った。


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        西表島の水源 西船付川


帰り車の中からはナリヤランが見えた。
ナリヤランは地生のらんで、炭鉱のあった成屋(なりや)集落にたくさん咲いていたことから、
そう呼ばれるようになったという。
初夏から夏にかけて、多く見られるが、最近では数も少なくなっているという。
林道の出口には、朝見かけたヤギがまだ同じ場所にいて、私達を見送ってくれた。

舗道にでてしばらくすると、電柱の上にカンムリワシを見つけてくれた。
カンムリワシは、日本では西表島と石垣島に生息している絶滅危惧の生物で、
高いところから、ねずみなどの獲物を探し、見つけるとすばやく滑降して獲物を捕まえるという。
電柱に静かにとまっていたその姿はとても猛々しかった。

それにしてもガイドのおにいさんは、すごいと思った。
色んな生き物を発見するその職人技には、とても感心した。
このたっぷりと内容のつまった小さな旅のお陰で、朝ごはんも美味しく食べることができ、
感謝の一日が始まったのだった。

参考書籍: 西表島フィールド図鑑 写真・著 横塚 眞己人
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by hanayuki_rei | 2008-08-10 18:00 | 旅行


うさぎと絵本のブログです。愛うさぎの雪のこと、読んだ絵本のこと、日々のことなど思いのまま綴ってます。楽しく読んでもらえたらいいな。


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