西表島旅行2日目 早朝トレッキング 前編

早朝のトレッキングは、とても楽しみにしていたので
早起きは全く苦にならなかった。
午前5時30分、朝とはいっても、集合場所であるホテルのフロントに向かう道は、
まだ真っ暗で、空も曇っていたせいか星は見えずフロントの明かりだけが、
ぽつんと浮かんで見えた。

この日のトレッキングコースは大富林道という場所。
林道の途中までは車が入れるため、そこまでは車で行き、
そこからは西表島の中心に向かって続く緩やかな傾斜を1時間ほどかけてゆっくり登り、
マングローブに囲まれた仲間川を一望できる展望台に向かうというものだった。
林道に向かう途中、ガイドさんが「ヤギがいますよ」と言ったので、
窓の外に目を向けると、真っ白いヤギが2匹いた。
「野生ですか?」と尋ねると
野生ではなく飼われているヤギで、夜の間、草を食べさせるためだけに
ここにつながれているのだという。
聞くところによると、西表に野生のヤギの生息はなく
飼育されているのが逃げ出したか何かで野生化したヤギが、
浜辺などに時折現れるのだそうだ。
なるほど、よく見るとヤギは長いロープにつながれていて、
周りの草をおいしそうに食んでいた。
この島でみる生き物は、すべて野生だと思い込み
はしゃいでしまった自分が、少し恥ずかしくなった。
暗闇の中、車のライトに照らされた真っ白いヤギたちも
ここの自然がとても気に入っているといった目をしていた。

車から降りて歩き始めた時も、まだ日は出ておらず、
ガイドさんが持つ懐中電灯に照らされ、注意深く進んでいく道は、
何かが出てきそうで、とても緊張した。
辺りの空気はひんやりと涼しく、
木や草のにおいがして気持ちのいい風が吹いていた。
思いっきり空気を吸い込むと心も体も浄化されていくようだった。

木、草、花、虫、鳥…。
この道で、いったい何種類の生き物達に出遇ったのだろう。
まず聞こえてきたのは蛙の大合唱。
その主はサキシマヌマガエル、
本州から沖縄諸島に分布するヌマガエルよりやや大きめで
主に水田や沼などの水辺周辺などで普通に見られる種だ。
姿は見えなかったが力いっぱいの鳴き声で挨拶してくれた。
次にオカガニ、両手を前にしてたつ姿が
「いらっしゃいませ」と言っているようだった。

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        出迎えてくれた オカガニ



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そして次々と、目にするはじめましての植物たち。
大きなクワズイモや、
大きなシダ植物のヒカゲヘゴ、
背がすらっと高いヤエヤマヤシ、
柑橘系のとてもいい香りのするゲットウ、
パイナップルに良く似た実をつけるアダン、
ギンゴウカン、別名ギンネムは、葉を閉じて眠っている。

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上段左から、葉を閉じているギンネム、ゲットウの葉、大きく成長したヒカゲヘゴ、
通り沿いにたくさん生えているクワズイモ、パイナップルに良く似たアダンの実


突然、ガイドさんが何かを見つけたようだ。
林道脇の草むらがカサカサと音をたてていた。
「なんだろう。もしかしてハブかな。」
ガイドさんが、捕まえて見せてくれたのは、なんとセマルハコガメで、
道の真ん中に置くと、すぐに手、足、首を引っ込めて石のようになってしまったが、
林の中に戻してやると、急いで奥のほうへと逃げていった。
そこから少し進むと、今度はセマルハコガメのこどもが大急ぎで道を横断して、
林の中に入って行くのが見えた。
おかあさん亀を追いかけていたのだろうか、
亀とは思えぬスピードですばしっこく走っていく姿に、私はとても驚かされた。
セマルハコガメの子どもは甲羅にうまく体をしまえないため、
イリオモテヤマネコなどの肉食獣に狙われやすいのだそうだ。
敵から少しでも早く身を隠すため、こんなに早く進むのだろうか。

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 石のように丸まってしまったセマルハコガメ


セマルハコガメのこども 「急いで急いで!」

また更に進むと、ウリ坊が目の前に姿を現した。
リュウキュウイノシシのこどもで、こちらもまた急いで林の奥へと消えていった。
めずらしい生き物達の突然の出現に、私は少し興奮ぎみになり、
緊張がすっかり解けてしまった。

しかし暗い山道は気をつけて歩かないといけない。
特に雨あがりは、ヌマガエルなどを追いかけてハブが出てくることもあるらしい。
ハブはとても臆病なので、こちらが何もしなければ、
襲ってくることはめったにないとのことだが、
草むらに、むやみに足を踏み入れない方がいいと聞くと、
また緊張が戻ってきた。

あたりはだんだん白んできて蝶やトンボがあちこち姿をみせ、鳥も鳴き始めた。
体が真っ赤で美しいトンボはオオハラビロトンボの成熟したオス。
名前にハラビロとついているとおり、たしかにお腹が平べったくて面白いかたちだ。
このトンボのように、鳥や虫はオスのほうがキレイな色をしている固体が
多いような気がする。
「メスが着飾るのは人間だけなのかな」
近くで、イシガキヒヨドリが良く鳴いていた。
そしてリュウキュウアカショウビンもキュロロロロ~と鳴き声を聞かせてくれた。
リュウキュウアカショウビン。
その名のとおり、赤い羽毛を着ているカワセミの仲間。
どこかにいないかと樹木の上に目をやって、探してみたが、
姿を見せてはくれなかった。
そのかわり、ちょっと小柄なオサハシブトガラスが木の枝にとまっていた。

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        オサハシブトガラス

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        オオハラビロトンボ


オオカラスウリの花が咲いていた。
日本各地にある花のようだが、初めて見た花だった。
夜に咲いて、日が昇るとしぼんでしまうという真っ白なその花は、
とても優雅で美しく、はかなげに林道の風に揺られていた。

ガイドさん、今度は毛だらけのカタツムリを見つけてくれた。
クロイワオオケマイマイ、ケマイマイの仲間では日本最大級のもので
私達が目にしたのは、直径3センチはあっただろうか。
しかし、このマイマイ、いったい何のために殻に毛が生えているのだろう。

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        オオカラスウリの花

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        クロイワオオケマイマイ


こうして、めずらしい動植物をたくさん目にしながら、
あっという間に仲間川展望台に到着した。

参考書籍: 西表島フィールド図鑑 写真・著 横塚 眞己人
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by hanayuki_rei | 2008-08-10 13:43 | 旅行


うさぎと絵本のブログです。愛うさぎの雪のこと、読んだ絵本のこと、日々のことなど思いのまま綴ってます。楽しく読んでもらえたらいいな。


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