赤い蝋燭と人魚

人魚は南方の海にばかりすんでいるのではありません。
北の海にもすんでいたのであります。

中表紙に書かれた文面は、これから始まる悲しい結末を物語っているように
重たく感じられました。

北方の海にすむ妊娠の(みおも)の人魚は
人間のすむ世界に憧れを抱いていました。
人間は、魚よりも、獣物よりも、人情があってやさしいと聞いていました。
この世の中で一番やさしい。
可哀そうな者や頼りない者は、決していじめたり、苦しめたりすることはない。
いったん手付けたなら、決して、それをすてないと…
そう思っていた人魚は自分の子供に明るい美しい町で育ってほしいという願いから
陸の上に子供を産んだのでした。

人魚の子供は蝋燭屋(ろうそく や)の老夫婦の手で育てられることになりました。
そうして 二人に大事に育てられ美しく、おとなしい利口な娘になりました。

娘はみんなが喜ぶだろうという思い付きから
蝋燭に絵を描きはじめました。赤い絵の具で描かれた絵は
不思議な力と美しさがあって、蝋燭はよく売れました。

ある時、南方からきた男がどこで聞いてきたのか 人魚の娘を売ってくれと
老夫婦に大金を渡しました。
しかし老夫婦は承知しませんでした。
それでも男は こりずにやってきて、「人魚は不吉なものである。」
と、おどしました。 
老夫婦はその男の言うことを信じてしまい、
また大金にすっかり心を奪われて 娘を売ってしまったのでした。

人間は人情があってやさしいと信じて子供を託した人魚。
欲に目がくらんだ人間。
その後続く恐ろしい出来事。
とても暗く悲しいお話です。
酒井さんの絵の描き方と赤という色が、悲しみを効果的に強調しているように思います。

いいお話と言えるのかどうか 結論付けることはできません。
ただただ悲しいお話でした。
そして人間とは、なんと おろかで弱いものなのだろう と考えさせられました。

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◇ 出版社: 偕成社
◇ 文: 小川 未明 (おがわ みめい)
◇ 絵: 酒井 駒子 (さかい こまこ)
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by hanayuki_rei | 2008-07-05 23:03 | 児童書・絵本


うさぎと絵本のブログです。愛うさぎの雪のこと、読んだ絵本のこと、日々のことなど思いのまま綴ってます。楽しく読んでもらえたらいいな。


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