木を植えた男

人びとのことを広く深く思いやる、すぐれた人格者の行いは、
長い年月をかけて見定めて、はじめてそれと知られるもの。
名誉も報酬ももとめない、まことにおくゆかしいその行いは、
いつか必ず、見るもたしかなあかしを、地上にしるし、
のちの世の人びとにあまねく恵みをほどこすもの。


1913年、フランス、プロバンス地方の深い山脈(やまなみ)を若い男が水を求めて、
荒廃した地を歩き続けたその先にひとりの男がいた。

家族を失い、羊を伴侶にゆっくりと歩むその人生に喜びを見出した寡黙な男は、
誰の地ともわからない荒地に3年前からカシワの木を植え続けていた。
その男は、綿密な計画により、この不毛の地にも1万本のカシワの木が根付くことを
予測していた。
55歳になるその男はエルゼアール・ ブフィエといった。

「もう30年もすれば、1万本のカシワの木が、りっぱに育っているわけですね」
若い男が言うと
「もし神様がこのわしを、もう30年もいかしてくださるならばの話だが……、
そのあいだ、ずうっと植えられるとすれば、今の1万本なんて、
大海のほんのひとしずくってことになるだろうさ」
そしてブフィエは、他にも違う木を植える計画があると語った。

やがて長い年月がすぎ、木は育ち森となり、恵みの水も蓄えられ、
まわりの村は再生した。
絶望の淵に立たされたこともあったが、不屈の精神で立ち向かい、木を植え続けた男。
そして見事、森を育て上げたこの男は、荒廃した地に息吹を吹き込んだのだった。

この作品は、作者であるジオノ氏の体験に基づいて20年以上におよぶ草稿作りを経て、
書上げられた物語です。
そして、1987年アカデミー賞短編映画賞を受賞した映画「木を植えた男」に感動した
バック氏が、絵本として新たに描き起こしたものです。(あとがきより)

夢を忘れない心。あきらめない気持ち。小さなことの積み重ね。たゆまぬ努力。綿密な計画。
それらをもって森を仕立て上げた男と、
この物語をつくりあげた2人の作者が重なって見えました。
魂がこもった力強さが感じられる、壮大で、感動の作品です。
生きていく上で、とても大切なことが、こめられている物語だと思いました。

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◇ 原作: ジャン・ジオノ
◇ 絵: フレデリック・バック
◇ 訳: 寺岡 襄(てらおか たかし)
◇ 出版: あすなろ書房
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by hanayuki_rei | 2009-02-02 22:44 | 児童書・絵本


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