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むく鳥のゆめ

ひろい のはらの まん中に、たいそう ふるい
くりの 木が 立って いました。 木には、ほらが できて いました。
その ほらに、むく鳥の 子が、とうさん鳥と すんで いました。
秋も くれて、すすきの ほが 白く なると、
とうさん鳥は、その ほを くわえて すの 中に もって きました。
ほは、やわらかで ありました。 からだが まもなく ほかほか して きて、
わたの ふとんに いるのと おなじで ありました。
それでしたから、冬が きて、しもが おりても みぞれが ふっても、
そんなに こまりは しませんでした。
けれども、天気の わるい 日が きて、
そとへ でる 日が すくなくなると、むく鳥の 子は、
ある 日 じぶんの かあさん鳥に 気が つきました。
かあさん鳥は、この 世に いなく なって いました。
けれども、それとは しらないで、とおい ところに
でかけて いったと そうばかり おもって いました。
とうさん鳥が、いつか そう おしえたからで ありました。


むく鳥の子は、かあさん鳥が早く帰ってこないかと待ち望んで、
とうさん鳥にかあさん鳥のことを何度も何度も聞きます。
そしてある晩、外からかあさん鳥が帰ってきた音が聞こえました。
しかし、それは唯一枝にのこっていた葉っぱの音でした。
むく鳥の子は、その葉っぱが風で飛ばされてしまわぬように
しっかりと枝にくくりつけます。
そしてとうとう、白いかあさん鳥がやってきたのでした。

むく鳥の子は、最後まで残っていた、たった一枚の葉っぱに
かあさん鳥を思ったのでしょうか。
その葉っぱがどこへも行ってしまわぬよう、枝にくくりつけるところなど
読んでいて、とても切なくなってきます。
最後の場面は、その思いを決定づけていると思いました。
また、とうさん鳥の寡黙さに子どもへの愛情を感じました。
それと、絵が素敵です。
暖色と寒色が、「愛情と淋しさ」をより効果的に表現しているように思えました。

むく鳥のゆめ_b0085080_22562193.jpg


◇ 作: 浜田 廣介
◇ 絵: 網中 いづる
◇ 出版: 集英社
by hanayuki_rei | 2009-01-27 23:03 | 児童書・絵本


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